― クレメンス軍・本陣 ―
「本当に...助けてくれるのか?」
[ 必死の目で確認してきた相手に、頷き返す。その間にも娘の身体は冷え、命の証は零れ落ちていく ]
「判った...だが、もし彼女が命を落とせば」
その時は私の命で購おう。この年寄りの命くらいでは足りないかもしれないがな。
[ 瞬時の間も置かず、そう宣言すれば、漸く本気で言っている事が伝わったようで、森の戦士達は、武器を向けたままながら、娘を囲む位置から身を退いた ]
感謝する。出来れば君達も、この戦場からは撤退して欲しい。
それが無理なのであれば、街中に攻め入ることだけは避けてくれ。
[ 彼女を運ぶ医院も、街にあるから、とそう伝え、遊撃隊の数人が、そっと娘の傷ついた身体を運んで行くのを見送った ]