― クレメンス軍・本陣 ―
[ 前線では、ソマリの全軍突撃命令による総攻撃が始まり、激しい戦闘が繰り広げられている 投石機を犠牲にしての、捨て身とも言える攻勢に、徐々にクレメンス軍は後退を余儀なくされつつあった]
許せとは言わん、だが、その者はまだ生きているんだろう?
すぐに手当をすれば助かるかもしれん。だが、遠くまで動かせば恐らく保たん。
どうか、オプティモの街で、手当をさせてもらえないか。
頼む。
[ 深々と頭を下げた男の姿に、森の民達の戸惑う気配が伝わる ]
決して、これ以上の危害は加えない。無事に命を取り留めたなら、間違い無く君達の元へ帰すと誓おう。
このラウド・レイ・クレメンスの、王国貴族としての名誉と誇り、そして同じ地に住まう人としての信義にかけて。