[腕を振るって、彼が消えたと思しき方へと手を向ける。五本の指をぴんと張り、手にした魔石を返しとばかりに投げ放つ。相手の行動を阻害するほど高度な術ではない。ただ、相手に微かな魔力の印…気配を与えるためのもの。ごく初級の短い魔法である]次は、[ぎり。と、奥歯をかみ締めた。術は成功したかどうかすらも分からない。蒼氷色の双眸が、誇りを傷つけられた怒りに燃えた] 逃げられると思うなよ…。[もう、何の気配も感じられぬ宙を睨みつけた*]