― 深夜・停留地にて ―
[シュラフに身を横たえ目を閉じていても、常に眠りは浅い。
いつ何があるかわからない戦地、しかも今居る場所は最も危険な前線。]
……。
[緩めた襟元から右手を自分の胸に差し入れ、首飾りの先端にある石をぎゅっと握る。
暗闇の中で見えないが、いつもの蒼色が手の中で温かい。
不安を感じると思わずそうする癖がついたのは、いつからだったろうか。
開戦してからその頻度が上がっていることだけは間違いない。
こうしていると落ち着いてくるのは、これが自分の「お守り」だから。]
……大丈夫。
[今は少しでも休んで回復し、明日の強行軍に備えるべし――]