― 自室 ―[礼儀正しいノックが三回。] どうぞ。お入り。[自身は長椅子に寝そべったままで、威儀を繕うこともしないのは、物事に頓着せぬ性によるもの。それでも、物堅い雛の様子から彼の緊張を知れば、即座に長椅子から滑り降り、] 良く来たね。 堅苦しい挨拶は抜きだ。 こちらにかけて、楽にして。[やわらかな笑みで迎え、テーブルの前に並べられた椅子のひとつを勧める。]