僕の手に何かついてます?
[途中で小首を傾げて聞き返す。
返って来た答えに最初はサラリと受け答えられたが、途中から怪しくなってきた。出来を褒められれば嬉しいけれど、自作であるのは隠しているだけにむず痒くて困った。聡い先輩はそんな所作からも何かを読み取っていったのだろうか]
……そうですね。
でも毎年見る店ではないので、運が良いといいですねっ。
[やはりあまり人に渡しては駄目だ。そう思ってしまったから、この優しい先輩達には渡し損ねてしまった。最後まで居られなかった西の寮長<<リエヴル>>や、この年度の自寮長<<ソマリ>>も含めて。
けれどこの人達が卒業するまでの一年間も、より多くを学び、多くの思い出が増えていった*]