― 京都駅 ―[新幹線の座席に身を落ちつければ、ほう、と安堵の息を吐き。呟く声に隣を見れば、自分の後ろに移る窓を見ている炉と目が合った。>>549]もう終わりか……早かったな。今日のいろりの足は、随分と行儀がいいみたいだ。[行きの新幹線を思い出した余計な皮肉も、柔らかく囁くように。物寂しさも勿論あるが。行きとは違う距離感を改めて実感すればまた嬉しさの余韻が胸を締める。そうこうしているとクラスの女子達がやってきて、通路側にいた炉へ問答無用に菓子を押し付けて行った。]