― クレメンス軍・本陣 ―[ 銃声と同時に、アレイゼル領主の兵達は、距離を取っていた。事態に気付いた遊撃隊が立ち戻って取り囲み、怪我人を中心に庇う森の民との間で、睨み合いが続いている ]君達は、太古の森の民だな?[ 男は、私兵達の前に出て声をかけた。こちらの身分に気付いたのかどうか、森の戦士達は強い視線で睨みつけてくる ]この戦は、私とアレイゼル卿との私闘に近い。君達が関わって命を賭ける事を私は望まない。「今更何を言う!」[ 鋭い糾弾の声に、男は目を伏せた ]