神父 ジムゾン

　　　――　宿・�H号室　――

[書き物を終え、荷の中に仕舞う。
誰かが部屋を訪れた気配に振り返り、
訪れた男の様子に、目を瞠った。
議論の際の様子とは打って変わって、
ひどく憔悴した様子に、
咄嗟に、どうした、大丈夫か――と、
そう言いかけて。
けれど、咄嗟に、今必要な言葉はそれではないと、
そんな感覚を覚えたのは、何故だったろう。]


　　話――そうか。
　　まあ、座れよ。


[そう言って椅子を勧め、自身も向かいに座って
男の話に静かに耳を傾ける。]