――…っ…
[巫女姫がいるのだろう、と不意に投げられた言葉。
彼の周囲がざわめくのと同じように、女の枯色には驚きが混じる。
後続の軍が来る可能性は予測できたとしても、巫女姫が来る可能性は何処で耳に入れたのかと。
けれどそれは束の間の事。
すぐに目を眇め]
…よもや巫女姫に此処までおいで頂く為に今回の集会を開いたのではないだろうな?
[その言葉には鋭い刃のような色が混じる。
しかも己の正体を知った上で、巫女姫に取り次げと言う。]
確かに。
貴君を今此処で不穏分子として処分すれば、我々も無事にこの街を出る事は出来んかもしれないな。
[彼らは戦闘には慣れていなさそうだが、地の利がある。
如何に鍛え上げられた騎士団といえど、この街の住民全てに囲まれればただでは済むまい。
完全に敵と認識していない以上、民衆に武器を向ける事は心情的に出来ない。
思案しながら、ちらと彼の周囲の者に視線を走らせる。]