…国に要望?[嘆願でも請願でもないという。まるで国と対等の立場であるかのようなその言葉には僅かに瞠目して。けれどこの男らしいといえばらしい。兜の奥に隠れた口の端を僅かに上げた。ベルサリス学館は>>146年も立場も身分も関係なく、誰だって思いっきり議論していい場所だ、と。彼は数年前に言っていた。ジェフロイはそれを信じて疑っておらず、また実際その通りだった。女が離れた後も、その気風は変わらなかったのだろう。――変わらなかったからこそ、今のこの状況に繋がっている。]