― 現在・自室 ―
これは――、どうもありがとう。
礼儀作法もきちんと教育されているんだね。
[>>552礼儀作法や所作は、真祖であるクレステッドによって教え込まれたものと思い込んだまま。
ファミルによってバスケットから取り出され差し出された蓮の花を、こちらも両手で包み込むようにそっと受け取れば。
一枚一枚異なる色彩を持ち、七色に輝く蓮の花とその高い芸術性に目を奪われる。]
さすがは真祖の君――。
こんなに美しい品を俺になんて…、勿体ないよ…。
[真祖の君が送ってくれた好意の厚さに、思わず自信の無さが言葉となって漏れる。
これに応えられるだけの品を返礼に――と、考えるが。
浮かんだのは先程、自らの養子に持たせたクッキーであり――。
思わず頭を左右に振る。
が、養子たる青年の紫水晶の瞳に、すぐに表情を戻した。]