[いくら裂いても、叩いても、抉っても、泣き言ひとつ言わぬ。
そう、王子が可笑しそうに呟く。
ドールから渡されたボトル。顔の上で逆さにすれば、薄茶の髪はしとどに濡れ
かきあげた前髪の下から、薄い割れ目――鈍い白が顔を覗かせる――が覗く]
[振りかぶられたボトルはそのままレトの頭に叩きつけられ、破片で衣服は裂かれていく。
それでも、うめき声ひとつあげず、むしろ薄笑いさえ浮かべていた]
ふ、 ……は、はっ
[否、"薄"くはない。
箍が外れた野犬は、押し殺していた笑いを、とうとう外に解き放つ。
赤と黄金が滑る肌を戯れに弄られ、息をあげても
それに飽いた王子がいつの間にやら姿を消していても]