― 赤の亜神戦 ―
[放った二つの矢は自分でも驚く程に正確に、巨人の片目を貫いた。
痛みに歪んだ軌道にならなかったどころか、今はその痛みすら感じられない。
呆けていたのは一瞬。
咆哮のような声にはっと巨人を見ると、亜神が目を抑えて呻いていた。]
ぶぁぁぁあああああっ
[赤黒い霧が亜神の周囲を覆い、その姿は次第に薄れてゆく。
光に照らされれば、まるで硝子でも混じっているように霧は時折煌いた。
薄暗い欲望と輝くばかりの夢は、混在し一体であるかのように、それらは交じり合い霧散して、やがて跡形もなく消えてゆく。
最後に残されたのは、見覚えのある丸い宝石だった。]