人狼物語−薔薇の下国

68 Es2nd― 緋の世界に滲む月 ―


読書家 レト

 ― 悪夢のような ―

[カシャン、と銀食器が触れ合う音が響く。
傾いたグラスから、仄かに黄金に色づいた酒が滴り
真っ白なナプキンを濡らしていく]

 ……あ、ああ すみません

[丁寧な謝罪]

 ねぇ、王子
 私を痛めつけても、面白くないでしょう…?

[再び満たされるグラス。一息に呷り、再び閉じた眦からは一筋涙が零れ落ちる。
席を立った王子は、ことさらゆっくりと歩み寄り
レトの頤に手をかけると、二人がよく見えるよう持ち上げ、ネクタイを引き抜いた。
未だ白い軍服。ネクタイが去れば、胸元に、薔薇のよう赤い染みがじわりと浮き上がる]

(563) 2013/09/30(Mon) 23:18:59

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