―コンラートの部屋前―
[始めは、ノックを三回。
内側から返事があるまでは動かない。
…正直、不安で仕方がなかった。
吸血鬼として不安定過ぎる部分を抱えている事は
広く知れているだろうし、と。]
……受け取ってもらえるのかな…。
要らないと言われたら、結構来るなぁ…。
[小さな手提げ籠へ視線を落とせば見える、先日主と共に
作った、素朴なクッキー。
いつだって彼は人間に近い感覚で接してくれる、心優しい主だ。
それが「何故」なのかは未だに明かされてはいないが、
是非とも食べて頂きたい。今考えるのはそれだけ。]