あ、そういや。
[独りごちるリヒャルト>>548に目を向け、俺は苦い記憶の蓋を開ける。
彼と似た雰囲気のある、友人だった……クロトフのスパイだった友人と過ごした記憶を]
過去に一度、クロトフの工作員と接触した事があります。
[そう言いながら、軍服の上着の内ポケットにしまっていたカフスボタンを取り出した。
それはローゼスの軍人に支給される軍服の第二カフスで、友人との最後を迎える際に渡されたものだった]
……工作員のカフスは二重構造に細工してあり、カフスの中にクロトフの国旗のエンブレムが仕込まれています。
[言いながら俺は爪の先で器用にカフスの合わせを開き、少しばかり錆びたエンブレムをその場にいた者達に見せた]
艦内にスパイが紛れ込んでいるのなら、間違いなくこれは目印になるかと。
ですが………。………生きた相手からは、カフス奪い取るの難しいだろうなぁ。
[艦内に残る者達の数や所属の正確は把握していない。
力には自信があるにせよ、工作兵と現場にいる軍人との対峙を考えて。ぼそりと、誰にも聞こえない様に独り言を呟いた]