負傷兵 シモン

― 遅めの朝食 ―

［なるほど、とろけたチーズと黒パンの相性は絶品だし、
　野菜スープも、滋味深い旨味が体中に染み渡り、昨晩の酒もすっかり洗い流されていくようだ。
　
　朝食を平らげて、ほう、と息を付くと、厨房にいた少女が自分の朝食を持って、こちらに話かけてきた。
「起きたんだねー！>>505」という言葉から、やはりこの毛布は彼女が掛けてくれたのかと、己の推論が外れていない事を確認する。］

　俺はシモン。リーザだね、よろしく。
　ここで働いているのか？若いのに偉いね。
　毛布、ありがとう。助かったよ。

［感謝の気持ちは本当だが、相手を未成年だと思い込んでいた。訂正されれば素直に謝るだろう。］

　君は、生まれた時からこの島で暮らしているの？
　祭りに残った人達は、ほとんど地元の人のようだね。
　この島は良い所だから、外から来て住み着く人もいるんじゃないか？

［世間話の体で、この島の実情に探りを入れてみる。
　把握したいのは、この島で生まれ育った、金狼の子孫と呼べる人間がどれだけ居るのか。

　この宿の現在の宿泊者も把握しておきたい。
　差し障りがなければ、そのまま宿帳を見せて貰っても良いかお願いしよう。

　見せて貰えなければ、ゲルトが寝ている部屋の場所と番号を確認して、そちらの部屋まで向かうとしよう。］*