嗜む程度にねっ?
…っとっ
[硬質な音を立てて鎧に短刀が弾かれる。
続いて切り上げる太刀を、弾かれる勢いで飛び退って躱す。
次手鎧の関節部にあたる隙を狙った打ち込みも相手には当たらず、此方も躱しを数度繰り返し。
瀕死までは、などと煽ってはいても、長期戦をする気などさらさらない。
体力と腕力で勝てる相手ではないことはもとより承知。]
うん、綺麗
[タイガの太刀筋は、しなやかな力強さがある。
それを失っていない事に口の端に笑みを乗せつつ、唐突に後ろに跳び退る。
白刃が離れる直前、短刀を持っていないほうの腕、小型の隠しクロスボウから鍵爪つきワイヤロープがタイガの足に絡みつくよう放たれていた。]