[何時の間にか、ホールに戻ってきた静かな気配>>546一度そちらへ視線を流し、また金髪の男に目を向ける。投げ掛けた問いに、男はまた率直に答えた。『手駒』という言葉には、下種な血親を連想し、きつく眉根が寄る] こい、びと……?[続いた言葉を、初めて聞く単語のように、拙く繰り返したのは。ふっと赤銅の青年の腕に抱かれる彼の姿が、目に浮かんだから>>217] そう……[――彼が、彼女でなくて良かった。短い人生経験を終えたばかりの娘は、あっさりと結論づけ安堵する]