[7年間研究し尽くされたせいか、2年前から投薬実験などは受けず、最近は反抗的な態度に対する折檻としての、拷問や夜伽しか受けていない。
自分の体が主な検査対象から殆ど外れたことを注意深く見極めた。
まず使うのは、ある種のレトロウィルス。
感染力は殆どないと言ってよく、体液間でもほとんど感染は成立しないし、空気に触れれば1秒とかからず死に至る。普通の人間には感染すらしない。
因子持ちの人間の細胞の殆どに発現している抗原を介して細胞内に感染。その後自分の遺伝子を転写、細胞の遺伝子を書き換える。そんなウィルスだ。
まず、そのウィルス株を分離した。
色々なウィルスに対する薬を作るために、様々なウィルスを保温器や冷蔵庫に保存しているので何がどれだか、ましてやそんなウィルスがあることすらイドを介しても分からないだろう。]