[貴女の前でのワタシは、人でしたか?王でしたか?] [その時、人であったなら。おれも愚かな人の子だったのでしょう。] [その時、王であったなら。ワタシはそうでしか在れないのでしょう。]――エレン。[目覚めて出てきた中に、その燃えるような赤はいただろうか。見つけられたなら、相手が声をかけられるような状態なのならば、男は静かに声をかけるだろう。手は、もうグリップには触らない。ただ、手持無沙汰に、左薬指の指輪を右手で触っていただろうけれど。]