− 緑の神殿 −
[届けられた治療の指示に「患部を冷やす」があったけれど、それを実行するのは難しそうだった。
次善策として挙げられた固定は試してみる。
胸甲をあてがい、手に入る布や包帯できつく巻く。
ピアノを奏でる指は、案外と器用にその作業をこなした。
ふと思い出し、包帯の合間にイルマからもらったお護りの輪を挟む。
そうして布の端をグイと引っ張りながら、ソマリに話しかけていた。]
貴君がそうまでして贖罪にこだわる罪業とは何なのだ。
治療の間の痛みを紛らわすためと思って、話してみてはくれまいか。