―京都駅―
[集合し、教師の注意事項を聞き終え新幹線に乗り込む。
騒ぐ車内も行きとまた違う賑わいを見せ、残念がる声も
ちらほらと聞こえてくれば帰宅の物悲しさが押し寄せる。]
……修学旅行も、もう終わりなんだな。
[行きは占領したからと窓際の席に大河を押しやり、
窓の外を眺める振りをして小さく呟いた。
クラスの女子が『行っちゃえ行っちゃえ!』『えー、でもー』
などと小声で騒ぎながら近付いてくる気配に眉間に皺を寄せ。
にこやかな鬱陶しい笑顔で京都土産らしい飴玉を数個
押し付けて去って行った後姿に舌を打つ。]