(誤魔化すのが大変だった。わざわざ火で傷口をもう一度焼いて)(だが、……それだけだ。ダーフィトに顔向けの出来ないようなことは、しない)[いまさら何を言っている、と言われそうな言葉だ。 工作員として彼を騙し続けている、自分が。 ダーフィトも様子のおかしい自分に気づいていたのかもしれない。 明らかにあの頃の自分は、ぼんやりと疲弊し、常の警戒心を失っていた。 もう直ぐ訪れるだろう、ダーフィトとの別離。 匿った逃亡者の、どろりとした悪意。]