サシャっ![もし、片手がまだ空いていれば、サシャを引き止めたかもしれない。 けども今は、両の手でジルを抱えている状態。 とっさに呼びかけたけども、サシャは先の帽子の……できれば会いたくなかった男の元へ。][それ以上、どうすることもできず、ただジルと、そしてサシャを見守っておれば。 向けられた視線と、視線がぶつかる。 銀の髪、深紅の瞳。 されど顔の造作は常と変わらず。 ましてや、ロッカールームでヘルメットを見つけていたなら、刈屋であると思い至るのは容易かもしれない。]