[しかしこの辺りでは長い間人狼騒動の話を聞かず。
人狼の知人を作る機会もなく。
何より、滅びを願うには、村を―――愛しすぎてしまっていた。
夢と現実の境界を行き来する人間。
それが3年前に垣間見た祖父の姿だったし、
その人間の慣れの果てが、亡くなる直前の祖父の姿だった。
この夢は継いだ方がいいのか、遺されたクララは考えないわけにはいかず、
それでも答えを出すことを先送りにしていたのだが――]
あんな素敵な図書館の絵を描いてくれたヨアヒムがこっち側なら。
………いいんじゃないかなあ、って思った。
赤い声は使えないけど。