[全てを喪った今、唯一気に懸るのは、惨劇の場から身を呈して
逃がしてくれた青年のこと。
非力な自分が、今更彼の忠義に報いられるとも思わない。
生まれに伴う権力は最早意味を成さず、人の生を代償に得た
魔力も、年嵩の吸血鬼にはあっけなく封じられた。
せめて――彼が託される先が、少しでもまともそうな
相手であれば良いのだが。
例えば、彼を慈しむにも似た素振りを見せていた、
赤銅色の髪の青年のような]
経験と、相性……
[浅黒い男から『経験』という言葉を聞けば>>533、黒衣の吸血鬼に似たような事を聞かされたのを思い出す>>402]
養い親は、子を引きとって、養って――
そして、どうするの?