[随分、長い夢を見ていた気がする。
悪い夢だ。とんでもなくひどい夢で――そう、二度と覚めないような。
微睡む頭で周囲を見渡す。
ああ、どこかで見た風景だな――どこだっけ。
足元で、チリン、と涼しい鈴の音が鳴って、そちらを見ると白い毛玉が寄り添うようにしてそこにいた。]
(…開いていないものがある…。)
[人数分、には少し少なくて。
眠気でまだはっきりとしない頭で、開かずの繭に近づく。
そうして、窓を覗き込んで、顔を確認して。]
(――ああ。)
[夢であって、夢ではなかったのだと知った。
ある意味では、良き夢であったのだと知った。
いつからだろう?
いつから、ワタシたちは夢を見ていたのだろう。]