― 回想:15〜6年前、オルヴァル/敗北 ―
終わった ……、か…。
[はあ。と空に向かって息を吐く。
港の岸壁から望む自軍の艦はボロボロで、入港してきた帝国の艦隊の片隅でいかにも肩身狭そうに固められ繋がれている。
オルヴァルは敗れ、降伏したのだ。激戦の末、オルヴァル艦隊は壊滅>>274
ウルケル傭兵隊も実にその八割近くが沈没または戦闘不能に陥り、残された艦も満身創痍の姿を異国の港に晒している。
その様を眺め遣りながら胸のうちを閉めるのは、悔しさより、どこかぽっかりと胸の中にあいた空虚、だった。
モルトガット帝国に敵わなかったこと、こうして死力を尽くし戦ったにも拘らず負けを喫したことは悔しい。幾人もの戦友を失った───オルヴァル人も、ウルケル人もだ。
そう思えば叫び出したくなる程に悔しい思いがこみ上げるが、こうして生き延びたこともまた事実で、明日が確実にまた来ることを、喜べばいいのか、悲しめばいいのか、少しの間答えが見つからなくなっていた。]