ん、…なかなか、火が広がりませんか。
[思っていたよりも炎の勢いが弱い。
どうやら消火に回っている兵の数が多いようだ。
砦を建築中ということで、おそらく火責めへの警戒もあったのだろう。
水を回す様子は、こちらから見ても迅速だった。
こちらが届く射程ならば、同時に相手も届くということ――。
相手の弓が、円盾の隙間を抜けて、奥を進む弓兵に当たり、風穴を開けた。
慌てて阻もうと、盾を持った兵が手元を動かす。
だが全ては捉えきれずに、火矢部隊は半数程に減った]
仕方ありません、
重槍兵、そのまま進んでください!
[相手の弓が奥を狙っている間に、重槍兵は砦との距離を詰めていた。
消火に集中していた工兵や、近づけまいと応戦する敵兵に向けて、
重槍兵が槍を突き出す。
更にまだ完成していない、砦の脆い部分から中に入らんと、歩兵の一部が剣斧を構えて雪崩れ込んだ*]