[迷子になったことはなかったし、迷子になっても探してもらえはしなかった気がするが。迷子が家に連れて帰られる時の心境に、似ているような気がした。不注意で遠くへ行ってしまったことへの疾しさと、怒られるだろうか、という不安と、帰りつけることへの安堵。ヒンメルには、叱られても、怒られたことはなかったし。寝て死ぬ場所で、ぼうっとしないようにはしていたつもりだったが。窪んでいた、様々な場所を。埋めてくれた時間があった。――……なんて優しかったんだろう、と。振り返るたびに、思う*]