その杖は……、リエちゃんのママの思い出の品だよね。脚だって、……捧げたりしたらどうなるか。[どこか怖気づいたように彼に触れる手の力を強めた、止めたいけれど、まるでいい案が浮かばない]……俺も何か無いかな、リエちゃんのこと以外で大事なもの……、あとはもう身体の一部くらいしかない気がする。[それかあるいは、忘れたくない記憶。それもやっぱり彼に関わることだから、本当に忘れたら悲しませるだろうか。――彼自身が忘れろ、と言ったことだとしても]