そうか。
[トールの答え>>522に、教官として生徒を見守っていた頃と同じ表情が浮かぶ。
懐に手を入れれば回りの面々から警戒されるかもしれないが、構わずにタバコケースを取りだした]
なら、これをつかえ。
戦後に出すつもりだった証拠品の隠し場所がかいてある。
――クレメンス直筆のサインと家紋が入った契約書。トゥーレーヌ公を巻き込む際に暗殺依頼があった時のための対象リスト。暗殺その他もろもろの指示書。ついでに、リエヴルから貰ったトゥーレーヌの家紋入り懐中時計。
指示書は破棄するように言われてたが、きっちり全部保管してある。
おまけに、タヌキ直筆の指示書の1枚には、端っこに軍務大臣の血がついた紋章入りボタンで押印もしといた。
[実際に隠してあるのは、それらの他に王太子と大公の暗殺命令に関する証拠もあるのだが、それは今は伏せておいた。
肉親の暗殺の詳細まで伝えれば、トールが動揺するだろうから。
指揮官が動揺すれば、それは軍の末端まで影響しかねないから]