[――心の中で、どのように思っていただろう。
名前を付けるのは難しい。
父親、母親、姉、兄、弟、妹――… 家族、
そういったものを、意味としてしか知らなくて、例えとすることはよく分からなくて。
けれど、ひとつだけ分かることは。
“笑ってほしいな”、と、そう思ってた。
よく寝込んでしまう様子だとか、>>78
慣れない武器を、(扱いに慣れている自分の眼から見れば)危なっかしくて見て居られない様子で振り回そうとしたりだとか、
一つ一つの行動にびっくりしたり――自分も色々な場所に潜り込んだり上ったりと素っ頓狂なことをしていたから、きっとびっくりさせたりもしていただろうけれど――…
海賊たちの中にあって、次第に微笑みが見えたときなどは、見ていて嬉しかった。
船の中で起こった面白いこと、誰かに仕掛けた悪戯、船長に聞かせてもらった昔話、
見つけた本を、その頃にはいくらか読めるようになっていたから、その中身の話などもしたのだけれど、
きっと自分よりは、彼女の方がはるかにそういった知識はあったはずだから、自分の語る内容など、もしかしたらもう知っていたかもしれない。>>362]