[誰かが、和服の頬を殴りつける。 ほんの僅か顔を顰めたのは、殴ったことが理由ではなく。 殴りつけた男の顔に見覚えがあったから。]……。[先の声と合わせれば、答えはひとつ。 厄介な、と思いつつも今は素知らぬ顔のまま。][サシャが誰かに向かって呼びかけている。 回復魔法の使い手だろうか?]……すまない、頼む。[言いながら、左手で小脇に抱えていた状態から、両腕で横抱きにと。]