[だが。女子の会話の中で、万里の名を確かに聞いてしまったのだ。バンド関係で、目立ってもいる彼のこと。ファンの子がいることは、真理も知っていた。知っていた、はずなのに。“園部くんにチョコを渡そうかと思ってるんだけど――…”その一言が聞こえただけで、何故か、心が揺らいでしまって。]