一人で残されたらなぁ、
苦しいんだよ、さみしいんだよ、いたい、つらい、
お前の大事なやつにそんな想いさせてまで、死にたいなら、
大事な人なんて全て捨ててから騎士ごっこしろよ、大間抜け!
[途中からは、もはや目の前の騎士と言うよりも、その切欠になった男に向いていた。>>525
父は騎士の真似事をして、母はその仲間の真似事をして、
そして一族で滅んだ、愚かな村。
誰かの為に戦うなんて、バカげてる。
誰かのためにこそ、生きなければ。
この騎士は、遺された苦しみを理解したのではないのか?
それでどうして、自分も似たような事ができるのか。
憎い、難い、
ここで去るつもりはない。
先に掴んだルビーを握り、抜かれた剣の切っ先を見つめて、魔力を通す。]