― 一年の冬 ―[文化祭から月日が流れ、もうすぐバレンタインという頃。クラスの中は、少し浮ついた空気が漂っていた。女友達は誰にチョコをあげるとかいった話をしていて、男子達もどことなく落ち着かない様子だった。](……みんな、いいなぁ……)[特に誰かあげる相手がいる訳でもない。ただ、父親にあげるのを兼ねて、何か手作りで用意してみようとは思っているが。……まだ、万里のことは、わざと自分で意識しないようにしていた。]