[斥候部隊は消耗が早い為、兵の補充が頻繁にある。
いつしか部隊を纏める役職に着くようになっていたソマリの元へ、
ある日配属された男。
かつての同期――ダーフィト・カディーネ。
士官学校卒業の日、これからヒンメルと暮らすのだと
微笑んでいたのが最後の記憶。
…再会した彼の隣に、もう一人の馴染みの姿は無く。
感情を奥に隠した横顔は、冬空のように澄んで冷たい。
変わっていないと彼は言う。
変われないだけかもしれないと俺は応える。
野外でふと交わした言の葉を彼は覚えているだろうか。
眠気覚ましのささやかな戯れめいた、感覚に頼る会話。
続きはどちらからも無く、ただ夜が更けてゆく。
眼前の焚火がジジ…と震えた]