― 一室 ―[案内された部屋に入ると、寝台に突っ伏した。途端尽きかけていた体は眠りを求めてあっという間に意識が混濁していく] ………。[吸血鬼、などと。信じたくはないけれど、今までに起こった事柄を考えればそれが事実であろうというのは想像がついた。両腕を持ち上げて、自分の手を見る。左手を動かして、右の腕に爪で傷をつければ鋭い痛みが走る] これ、で…[目が覚めた時に、この傷が残っているのか。残っていないなら――残っていることを祈りながら、すぐにやってきた眠りに意識は攫われた*]