[まさか目の前の青年が人狼だとは少女は思っていない。>>497
強く握りしめた左手にも、青年の内心にも、少女は気付かなかない。
くぐもった小さな声で伝えたありがとう。
それにも返事をくれた青年の気持ちが嬉しかった。
「どんな意見でも、僕は言って欲しいな。」という言葉に少女は、
「うん、分かった、リーザも頑張る。」と、手で顔を覆い隠したまま、
こくこくと首を振って彼女なりに一生懸命に返事をした。
ただ、「リーザも、他の人に疑われるのは嫌だろう?」という言葉には、]
……ごめん、なさいっ。
[謝罪の言葉を残して少女はヨアヒムから離れた。
顔を隠していて良かった、その時の少女は酷い顔をしていたから。]