[21年前。友ノイアーに息子が生まれた。
オクタヴィアスと名付けられた子の誕生を祝いに行くと、アルブレヒトは、らしからぬほどに笑み崩れていたものだ。
美しい奥方に似たなと言えば、そうだと、これまた随分素直なこたえが返った。
この子も父同様、先に生まれたダンクラード様を支え、ラモーラルを守る柱となるであろう。
そう語り合うと、お前のところはまだかと水を向けられた。
チャールズと妻の間には、子がなかった。
少し身体の弱かった妻は13年前、政変を見ることなくこの世を去り、再婚となる前にかの政変が起きたものだから、チャールズは結局、子のないままこの年まで過ごしている。]