――……俺の箱は、母親でできててさ。
[ソマリの事情はわからない。
……どんな気持ちで、今彼が中から外を見ているのか。
満ちる諦念が、視界をどんな風に覆っているのか。
……わからないから。自分の手のひらを拡げてみせる]
思い出したくないくらい、ひでーことを沢山されたけど。
俺には何もなかったし、ここしかないと思ってたから、壊すことなんて考えもしなかった。
もっと早くに殺しておけばよかった、と今は思う。
……なんでできなかったんだろう、と思うんだけど。
やっぱ俺も、どこかで。あの人になにか、期待してたのかもしれない。