― ??? ―
――、
[あたたかな眠りの中から、ゆっくりと意識が浮かび上がる。ゆっくりと目を開ければ、視界に入るのは黒い毛皮。どうやらこれに凭れて眠っていたらしい]
――…。
[ここはどこだろう。考えてみるけれど、眠りにつく前の記憶は遠くぼやけて、上手く思い出せない。
わん!と元気な鳴き声が聞こえて視界を動かすと、小さなふたつ頭の仔犬。犬とは頭がふたつある生き物だったっけ…と薄い記憶を辿ってみるけれど、よく思い出せない。なんとなく、そういう生き物であったような気がして片方の頭を撫でてやる。
と、視線を感じて顔をそちらに向ければ、眼鏡をかけた青年と目があった。しらない顔。だけれど、どこか惹かれる存在]
………。だ、れ?
[呟きを声にしたつもりはなかった、けれど]