……。
[小さな黒い体を撫でて、しばらく待ってみるけれど…彼はまだ目が覚めそうにない。
――まだ。戻れない。あの、白い世界に。
魔王によってこの魔界が閉ざされて帰れなくなっているなどとは知ない。彼の目が覚めれば、帰ることになるなら。この小さく勇敢な仔犬は、勇敢なれど、まだこどもで。ただ一匹放り出していくことなど、できない]
…すいません。すぐに、戻りますから…
[眠る神?に小さく告げ、物音をたてないようにそっと立ち上がる。そして、少しの間考えて]
――ちゃんと戻ります。これを、預かっておいてください。
[自分の持ち物など、ほとんど持っていない。首から聖印を外すと、彼の手の中にそっと落とす]