― 狂気の研究施設 ―
[足を踏み入れた先は、白亜の壁に囲われた研究所。
微弱な光子が電波として聞こえてくる。
――――が、精霊の多くは自然主義であり、
特に静寂と不変に馴染む闇精は、自ら何かを修学し、
成果をあげるという生き方とは縁遠い。
首を捻るように傾け、妻に視線を送りつつ]
魔族と言うのは、案外、努力家なのかもしれませんね。
興の為には労を惜しまぬと言うことでしょうか。
[やや浮世離れした夫妻の物見遊山。
用がなければ人間に降りることも無い身は、
覗いてみますか?と危機感の足りない声で問いかける。]