─ 少し前、食事中 ─
[湯葉丼が美味しそうだと告げれば、亜梨沙は胸を逸らした>>511。
差し向かいで見る笑顔に、今では自然と笑顔が返せてしまう。
そんな些細な事が、ひどく幸せだと思えた。
やがて来た湯葉丼に目を輝かせる亜梨沙には更に目を細め、そうして食べる前の美味しそうな食事×2人前に満足する]
うん。鶏肉のチャーシューなんてあまり食べられないから、おすそ分けしなきゃって。
煮玉子は、案外簡単に箸でほぐせたから。せっかくの小鉢なんだし、これくらい華があってもいいと思う。
[小鉢を差し出せば驚きを見せた亜梨沙>>513にはそう頷いて、どうぞと改めて勧める。
同じ時間だけではなく、こうやって同じ味すら共有出来る。
新幹線の中、ただ同じ時間を過ごす事を望んでいた己には、少々ボリューム過多な気はしたが、全部余す事なく平らげようと玲緒は内心でイタズラめいた気持ちを覚えた]