―渡河ポイント・Y地点へ―
[河原から上がり、川縁から距離をとってもう一点のポイントへと奔る。
元士官学校を拠点とするだろうという推測が正しいのなら、川縁至近を走るのは自殺行為だ。
途中で短い休憩を何度か入れた後は、一気に南側へと駆け抜けた。
辿り着いたのは、夕闇が迫る頃。
流石に大分疲弊したらしき部下に苦笑して、広大な川岸に目を落とす。
幾らかの朽ちた木と、骨の様に白い石の敷き詰められた河原。
こちらもまた、30ヤード程の距離に対岸が広がっている。
……僅かに向こう岸はこちらよりも土手が高く、あちこちに茂みも見られる。
開けたこちら側とは違い、明らかに見通しが悪く、伏兵を置きやすい環境に見えた]