[頬にふたつ、額にひとつ>>503唇には――そろそろ、数え切れなくなってきた。軽い口接を貰う度、微かな音色に溜息を重ね。遠ざかる体温を、ゆるりと撓めた瞳で追った] ……ううん、知らない。だって。 幸兄が、幸久が、――…教えてくれるんでしょう?[嘘を突き通す声音に、一層愉しげに細める眸に、見え透いた期待を込める。行く先は知れずとも、誰の隣に居れば逸れないかは知っている。先を導く腕に、すっと肩を寄せ、歩調を合わせて歩き出す*]